STEAM教育における造形教室のあり方について考える
- akikoganezawa
- 2021年5月1日
- 読了時間: 3分
今更ですが、自粛中のGWということで
平成30年6月に文部科学省が発表した「Society 5.0に向けた人材育成」(※1)を読み返し、
最近では耳タコになってきたSTEAM教育について自分なりに咀嚼してみました。
そもそも政府はこれからの日本の課題を
・ AIに関する研究開発に人材が不足
・少子高齢化
・つながりの希薄化
・自然体験の機会の減少
と考え、
課題が解決できる子供達を育てていきたい!と考えています。
「Society 5.0」の中に記載されている、日本の抱える課題が解決できる人材とは
・技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材
・技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材
・様々な分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材 等
・・・・。
「発見・創造・展開・・・・・。」
今までのような詰め込み型教育では課題は解決できませんやん。。。となったのですね。。
そこで、
アメリカで生まれたSTEAM教育を取り入れた教育方針に大きく舵取りをしたのです。
S=Science(科学) T=Technology(技術) E=Engineering(工学) A=Arts(芸術) M=Mathematics(数学)
最近ではプログラミング教室なども増えてきて、
教育の内容が変わってきていることを感じます。
ここにきて
A=Arts(芸術)の役割を考えてみます。
”From STEM To STEAM”(※2)は
「芸術は科学者,数学者,技術者が成功するために欠かせないものであり, 彼らは芸術から借用したスキルを用いている」と記し,芸術をすることに必要な能力(スキル)には次のような 観点があるとしています。
=芸術に求められるスキル=
1.好奇心の誘導
2.正確な観察
3.異なる対象物の知覚
4.意味の構築と観察内容の正確な表現
5.他者との効果的な協働
6.空間的な思考
7.運動感覚的な知覚
=============
Aki造形教室では、
1.4.5.7を主に造形レッスンで、
2.3.6を主にデッサンで、
子供達に伝えて行っています。
正解が決まっている世界で生きてきた子供達は、
「自分がやりたいことをやってごらん」
という課題が一番困るようです。
・自分がどんなことに興味がるのかを知らない
・「もしも●●だったら・・・」と空想するのが苦手
・「他と比べると下手」だと思っている
これは、訓練でどんな子供も創造の世界に
羽ばたいていくことができます。
造形レッスンではとにかく個人の世界を肯定すること。
「他と比べる」という概念を捨てること。
そんな時間を過ごしています。
デッサン教室では技術的なことを教えるため、
ある程度「正解」があります。
うまく描くという目標があるので達成意欲の強い子は
うまくなっていくことで精神的に満たされます。
「絵心がない」と思っている生徒やご両親がいますが、
算数や英語と一緒で
公式を覚えれば誰でもデッサンができるようになります。
STEAM教育におけるArts(芸術)は
要素の中でも重要な「発見・創造・展開」などの能力を
開発するための教育となります。
私が美術にどっぷり浸かっていた青春時代は
「絵で食っていけるやつなんて一握り」
というおきまりのセリフがありましたが(笑)
これからの時代、文部科学省の教育方針にも取り入れられて、
芸術を学ぶのが「当たり前」
になっていくのですね。
参考文献
(※1)https://www.mext.go.jp/a_menu/society/index.htm
(※2)D. A. Sousa, T. Pilecki, From STEM To STEAM, Corwin, 2013.;同日本語翻訳版:胸組虎胤訳,『AI 時代を生きる子供のための STEAM 教育』,幻冬舎,2017. ; D. A. Sousa, T. Pilecki, From STEM To STEAM 2nd Ed., Corwin, 2018.
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