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STEAM教育における造形教室のあり方について考える2ー所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げるー神戸大学西村和雄特命教授と同志社大学八木匡教授の研究結果より

5月にもコラムで書いたSTEAM教育について、継続的に気になる記事を見つけてはクリッピングしておりました。


前回の記事でも書いた「描きたいものを描いてごらん」で描けない子供たちへのアプローチなどを模索している中、「分数ができない大学生」の著書の西村先生と「かくれんぼができない子どもたち」の著書の杉本先生の対談を読んで、たいへん興味深かったのでAki造形教室の活動を振り返ってみました。


研究の傍ら、教育実践もされている杉本先生は、「かくれんぼができないだけでなく、キャンプでも、初日に「してはいけないことを聞かせてください」と言ってくる子供が多い」と語っていました。

これは、自己決定力が育っていないからなのですが原因の一つは、日頃「正解は一つではない」ということを教えられていないことが大きいとのことです。

事実、日本は「人生の選択の自由度がすくない」と国連の調査報告にも出ているそうです。

この話を受けて西村先生は自身の研究「幸福感と自己決定―日本における実証研究」※1

を例に自己決定力には学歴の8.7倍、年収の1.4倍の影響があることを示し、

自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられることを説明されました。


STEAM教育の「A(アート、リベラルアート)」を育むための造形教育は、

まさに「正解のない問題に楽しんでチャレンジしていける心を育むレッスン」だと私は思っています。

杉本先生は、「これからの予測不能と言われている社会をいくていく上ではレジリエンスを育てることも大事で、それにもつながる」※2とお話しされていました。


これからもAki造形教室では出来た作品を評価するのではなく、正解のない問題にみんなで取り組み、チャレンジしていける環境を作っていこうと思います。



※1

引用論文

著者:西村和雄, 八木匡


※2

レジリエンス(resilience)とは「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する。「レジリエントな」と形容される人物は困難な問題、危機的な状況、ストレスといった要素に遭遇してもすぐに立ち直ることができる。


 
 
 

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